退去後の部屋や共用部で見つかる「ごみ」について、現場では判断に迷う場面が少なくありません。

部屋の中に残された生活ごみ、ベランダに置かれた不要品、共用部に放置されたペットボトルや空き缶。
見た目は家庭ごみと変わらないため、「一般ごみとして処分できるのでは」と思われがちですが、実務上は注意が必要です。

原則として、ごみの区分は「中身」ではなく、「どの立場で、どの活動の中で発生したか」によって整理されます。
借主が退去し、オーナーや管理会社が管理業務として残置物を処理する場合、それは家庭ごみではなく、事業活動に伴って発生したごみとして扱われます。

この場合、多くは事業系一般廃棄物に該当します。
衣類や食器、雑貨類など、生活ごみと同じ性質であっても、自治体の家庭ごみ回収を前提とした扱いはできません。
処理を行う場合は、自治体ルールに沿った方法や、許可業者による対応が必要になります。

一方で、内装解体に伴って発生するクロス、床材、石膏ボードなどは、性質上、産業廃棄物として整理されます。
これらは量の多寡にかかわらず、物件ごと・発生場所ごとの管理が求められるため、他の現場の廃材とまとめて処分することはできません。

また、実務でよく話題になるのが、共用部に放置された資源ごみの扱いです。
例えば、住人が共用部に捨てたペットボトルを、オーナーから依頼され、清掃時に回収日に合わせてリサイクルステーションへ移動させるケースです。

このような対応は、衛生維持や景観管理の観点から現場では行われることがありますが、法令上の整理としては注意が必要な領域です。
事業として「処分」するのか、分別状態を是正し「本来の回収ルールに戻す対応」なのかで、意味合いが変わります。

少量であっても、継続的な対応になったり、他物件のごみをまとめて運ぶような形になると、事業系一般廃棄物としての扱いがより明確になります。
自治体ごとに運用や判断が異なる場合もあるため、安易な自己判断は避ける必要があります。

当社では、退去後や共用部で発生したごみについて、処分を請け負う立場ではなく、管理実務としてどう整理すべきかを現場目線で確認・整理することを重視しています。
どの区分に該当する可能性があるのか、どこに注意が必要なのかを整理し、管理会社さまやオーナーさまが判断しやすい形でお伝えすることが役割です。

ごみの問題は、「やっているか、やっていないか」ではなく、「どう整理し、どう説明できるか」が重要です。
退去後対応や原状回復を進めるうえで、リスクを避けるためにも、一度立ち止まって整理する視点が必要だと感じています。